SATOKO HIGA
比嘉 聡子
アダン葉帽子が教えてくれたこと
私は40歳を過ぎて初めてアダン葉帽子に出会いました。
アダンはトゲがある上に、放っておくと縦横無尽に広がるので、ずっと厄介者扱いをしていました。しかし、このアダンから帽子ができること、かつては沖縄の代表的な産業として栄えていた歴史があることを知り、とても驚きました。
その帽子の美しさにも衝撃を受けましたが、それ以上に、アダン葉帽子の盛衰の歴史を全く知らなかったことにショックを受けました。意識して伝えていくことをしないと忘れられてしまうことを目の当たりにしました。私は、そこから技術を学び、アダン葉帽子の制作を始めました。手作業で一つずつ編む時間は、自然と一体となることができます。それはとても平穏で豊かな世界です。私はこの時間が何よりも大切だと感じています。
このアダン葉帽子のドラマティックなストーリーと美しさを広く伝え、そしてぜひ、帽子を編むという平和で豊かな時間を多くの人に体験してもらいたいと思っています。
アトリエトコイ代表
比嘉 聡子
1974年、沖縄市に生まれる。幼少期から人間の生活文化に興味を抱き、「機織りする人」を将来の夢に描いていた。特に、読谷民俗資料館や海洋博記念公園内のおきなわ村が大好きな場所だった。
1993年、東京の大学に進学し、ブラジル音楽や現地の生活感を感じる滞在型旅行に熱中。移民の研究を通してアイデンティティや郷愁に触れ、地元沖縄に戻った後も自らのアイデンティティと向き合い、表現方法を模索し続ける。
2006年、阿嘉島に移住し、島の豊かな自然に魅了される。2014年、沖縄のアダン葉帽子産業の歴史と技術の美しさに衝撃を受け、2016年に工房ori to amiを主宰する糸数弓子氏に師事し、アダン葉帽子の技術を習得。2018年にアトリエトコイをオープンし、受注販売を開始。
アダン葉帽子の制作を通じて、沖縄の文化や人々の生活、自然との向き合い方を伝えることに誇りを持って取り組んでいる。
2018年:アトリエトコイをオープン。座間味村産業まつりにて「座間味村議会議長賞」を受賞。沖縄産業まつりにて帽子の実演と受注販売。
2020年:慶良間諸島国立公園ビジターセンターさんごゆんたく館にて「草編み講座全4回を開催。座間味村産業まつりにて「座間味村議会議長賞」を受賞。オンラインにてアダンの小物作りワークショップを開催。
2021年:阿嘉島や那覇市にてアダン葉帽子制作ワークショップを開催。
2023年:那覇市首里に「帽子クマーの学校」を開校し、後進の育成に努めている。
2024年:那覇市壷屋「tituti OKINAWAN CRAFT」にて初の展示会を開催。
アトリエ工房の場所
住所:〒901-3311
沖縄県島尻郡座間味村阿嘉8
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